公開日:2023年3月16日
CLAS入門 ②
CLASとRTKの比較

はじめに
前回の「みちびき」でセンチメートル級測位実現!CLAS入門では、CLAS の概要を説明した後、簡単にRTKと比較しました。
今回は、より詳しく、CLAS と RTK について比較します。
まずは、CLAS と RTK の精度比較を行い、RTK と比べた場合の CLAS のメリットとデメリットについて考えます。
CLAS と RTK の精度比較
測位方式 | おおよその精度(水平) | おおよその精度(鉛直) | 最初の高精度位置が決まるまでの時間 |
---|---|---|---|
RTK | 2cm | 4cm | ほぼ瞬時 |
CLAS | 6cm | 12cm | 1分以内 |
CLAS と RTK の地図上での比較
弊社周辺(東京都新宿区高田馬場)の道路をなるべく同じところを歩いて通って、3周しました。
取得した位置情報を地図上にプロットしました。
RTK と比べた場合の CLAS のメリットとデメリット
CLAS のメリット
- 補正信号は、みちびき衛星信号を受信するだけでOK
- 基準局を用意する必要がない
- 補正データの取得に他の通信が必要ない
CLAS のデメリット
- RTK と比べると、精度がやや落ちる
- 測位精度が落ちる(RTK floatレベル)時間帯がある
- 最初の位置が決まるまでの時間がかかる
- 日本国内のみ利用可能
CLAS が得意とする分野
衛星信号を受信するだけで、センチメートル精度の位置情報が手に入るという CLAS の利点が活かせる分野は、どこでしょうか。
- ウェアラブル端末などに取り付けて、人を含む移動体の軌跡を絶対位置で処理したい用途
- 物流につけるタグなど電池で動作する端末で、省電力のために間欠的に位置情報を取得し、動いた時だけ通信をONにして絶対位置を送信する用途
などが考えられます。
高精度位置情報が活用できる分野は気づいていないだけで、もっと他にもあるかもしれません。
終わりに
より詳細な情報のご希望やご質問などありましたら、別途 CLAS セミナーの開催も可能です。
当社お問い合せページよりお問い合せください。
参考ページ:東京海洋大学 久保信明 教授「みちびきの測位補強信号の現状と今後」[PDF]